反射テープは道交法で定める反射器材の代わりになるか
ロードバイクで夜間走行時に尾灯は点滅ではなく灯火していないのと道路交通法違反なのをご存じだったでしょうか?初心者な私はつい最近まで知りませんでした。
尾灯を灯火運用すると点滅運用するよりランタイムが短くなってしまうのでバッテリーの心配から「尾灯は点滅運用派」の方も実際多いのではないでしょうか。尾灯は点滅でもオレンジまたは赤色の反射器材(反射板)を後方に取り付けていれば、道路交通法上は順法している事になります。そこで、湧いたが疑問が「反射板の代わりに反射テープでも道路交通法上の反射器材としてみなされるのか?」です。反射板は丸形状をしているため、フレームからはみ出す部分がありどうしても空力上不利になってしまいます、またマウントも含めると重さも多少あるので取り付けに躊躇してしまう方もいるかもしれません。反射テープであればシートステーやシートポストに貼れば空力上はなんのマイナスもなく重さも数gで済むので合理的だなと思った次第です。もちろん反射テープや反射板だけでは危ないので同時に尾灯を点滅運用するのは大前提です。
最初に明確に書いておきますが、
夜間を尾灯を付けずに反射板や反射テープだけで走るのは大変危険です。法律がどうであれ、尾灯は必ず点けて走りましょう。
また、私は法律の専門家でもなければ素人の趣味ブログですので、情報の正確性には慎重を期しておりますが個別の解釈や取り扱いについてはすべて自己責任でお願い申し上げます。
道路交通法の条文
では、始めに道路交通法(以下、道交法)の条文を見てみましょう。
まず大事なのは第63条の9、ここに自転車で夜間走る場合には反射器材を付けなきゃダメよ、と明記してあります。但し、尾灯をつけている場合は反射器材がなくてもオッケーです。
道路交通法
(自転車の制動装置等)
第六十三条の九
自転車の運転者は、内閣府令で定める基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車を運転してはならない。2 自転車の運転者は、夜間(第五十二条第一項後段の場合を含む。)、内閣府令で定める基準に適合する反射器材を備えていない自転車を運転してはならない。ただし、第五十二条第一項前段の規定により尾灯をつけている場合は、この限りでない。(罰則 第一項については第百二十条第一項第八号の二、同条第二項)
道路交通法施行規則 | e-Gov法令検索
次に、尾灯は点滅ではなく灯火でないといけないという道交法上の根拠は第52条です。自転車は軽車両なので「車両等」に含まれ、「灯火をつけなければならない」は点滅ではなく灯火ではなくてはならないという意味です。
道路交通法
道路交通法施行規則 | e-Gov法令検索
第十節 灯火及び合図
(車両等の灯火)
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第五号、同条第二項 第二項については第百十七条の二第六号、第百十七条の二の二第十一号ヘ、第百二十条第一項第八号、同条第二項)
最後に 第63条の9 にある「内閣府で定める基準に適合する反射器材」は道路交通法施行規則の第9条の4に規定されています。
道路交通法施行規則
道路交通法施行規則 | e-Gov法令検索
(反射器材)
第九条の四
法第六十三条の九第二項の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
一 自転車に備え付けられた場合において、夜間、後方百メートルの距離から道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第三十二条第一項の基準に適合する前照灯(第九条の十七において「前照灯」という。)で照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できるものであること。
二 反射光の色は、橙とう色又は赤色であること。
ですので、今回の疑問「反射テープは反射器材に含まれるか」は反射テープがこの道路交通法施行規則第9条の4に合致するかが論点となります。
ツイッターで聞いてみた
疑問があったらツイッターで聞く!は初心者の鉄則です。早速、皆さんのご意見を聞いてみました。
道交法に詳しい方、ご教示下さい🙏
— てり〜@キャノンボーラーに憧れて🔰🐬 (@TerryRinRoadbik) December 14, 2021
夜間走行時に赤色尾灯の点滅&反射板の代わりに赤色の反射テープでも大丈夫でしょうか?
第63条9で夜間走行時の反射機材または尾灯の(点滅ではなく)灯火(第52条)が定められていますが、「内閣府で定める基準に適合する反射器」は1前照灯にちゃんと反射する
続 pic.twitter.com/DZS9z8fc3Y
2橙色または赤色なので、反射「板」の形状をしている必要はないと解釈したのですが、私の理解に間違いがありましたら、ご指摘頂けたら助かります🙏
— てり〜@キャノンボーラーに憧れて🔰🐬 (@TerryRinRoadbik) December 14, 2021
自分も反射テープをフレームやヘルメットに貼ってます
— ねりけし(見沼biker) (@minuma_biker) December 15, 2021
過去にも探しましたがサイズや位置や形状の規定は見つかりませんでした、ご参考までに警視庁のページです
自転車の交通ルールhttps://t.co/4XW76C4Dgc pic.twitter.com/dXHaxtMf5i
そういや考えたらことなかったなって調べてみたら
— くるぽᓚᘏᗢ🐾 (@culupo) December 14, 2021
これイヤホン類と同じで条例によって判断分かれるやつみたいですね
反射テープまでを尾灯とみなす、というところがある記事を見つけたので、つまり反射テープじゃ不足、という扱いになる都道府県もありそうです
条文読む限り大丈夫と理解しています。
— Cat_sushi (@Cat_sushi) December 14, 2021
「内閣府令で定める基準に適合する反射器材」これはJISかVIAを取得している製品と認識してる。
— Edeljagd@NextBRM108逗子200 (@PinaGAN_Sky) December 14, 2021
反射テープのトップブランドであろう3Mのプリズム高輝度(赤)ですら製品ページやパケに明記されていないので、テープで満たせる基準ではないのかも。
参考漫画:https://t.co/xAD0CzUlSY https://t.co/N4JGBDrVc2
やはり法律の問題は難しく、人によって結構解釈が違うというのが感想です。
直接の回答にはなってませんが数年前、警視庁に
— bistarai@サイクリスト&ブロガー (@bistarai785) December 14, 2021
サイクリングロードでの道交法適用について問い合わせたとき、
物凄く丁寧に回答&説明してくれました。
一部の質問には「正式な警視庁の見解を~」と
会議挟んでから答えてくれましたよ。
所轄警察に問い合わせるのが1番かと。
法律は解釈いくつもとれるよう”あえて”緩く設定したりするので、自分だけじゃなく他の人にも聞いた上で聞くのが間違いないかと。
— WTb (@ossan5684) December 14, 2021
法律はその解釈しかないと思い込んだ時点で負けですから…
やはり警察に直接聞くのが間違いない!という結論になりました。
警視庁に聞いてみた
今回私が問い合わせしたのは警視庁の交通相談コーナー(03-3593-0941)です。大変丁寧にご対応いただき、またブログに回答内容を掲載する事も快くご承諾いただけました。以下がQ&Aです。
Q:反射板の代わりに赤色の反射テープを自転車の後部に張り付けても、反射器材としてみなされるかを知りたくて電話しました。
- Q:道路交通法施行規則第九条の四に後方百メートルの距離から道路運送車両の保安基準で照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できるものであることとありますが、反射板ではなく反射テープでも代用は可能でしょうか?
- 条文では形状については謳ってはいない。反射テープでも「夜間後方百メートルの距離から道路運送車両の保安基準で照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できるものであること。」と「反射光の色は、橙とう色又は赤色」であれば条文を満たすと解釈します。
- Q:警視庁の正式な見解としてよいでしょうか?
- A:警視庁の正式な見解としてよいです。
- Q:反射テープで道路交通法施行規則第九条の四を満たす製品である事を分かる基準は何かあるか。例えばプリズム高輝度の反射テープならなら殆どの製品が大丈夫ですとか、JISやVIAの規格を通っていないとダメですとか。
- 条文には製品や規格の指定はないため、この製品でないとダメであるとか、ある規格にミートしてないとダメという事はない。あくまで条文の通り「夜間後方百メートルの距離から道路運送車両の保安基準で照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できるものであること。」であれば問題ありません。
- Q:反射テープが反射器の代わりとして扱われるかについては都道府県にもよって違うと聞いたがどうでしょうか。
- A:県の規則はある。都道府県によって違う可能性はある。それについては各都道府県に個別にお問い合わせください。
- Q:布系素材でできた三角形の反射板(通称:おにぎり)をサドルの下にぶら下げた場合は反射板としてみなされるでしょうか。また自転車に乗る人間が反射ベストを着た場合は反射板としてみなされるでしょうか。
- これを反射器材としてみなすとかどうかは、警視庁では明確には回答できない。ただ、ぶら下げるタイプは条文で謳われている第63条9の「備えている」とは言えないと考える。
- 反射ベストについても同じく、第63条9の「反射器材を備えていない自転車を運転してはならない」により、反射ベストは自転車に備え付けられているとは言えないと解釈する。
というわけで、警視庁の見解では条文では反射器材の形状については明記されていないので後方100メートかるから反射光を容易に確認できる性能があれば反射テープでもオッケー、という回答を得られました!
しかし、気になるのが都道府県の個別の条例については警視庁では関知していない、という点。数々の都道府県を跨いで走る我々ローディーにとって「こっちの県では大丈夫だったけど、あっちの県ではダメだった」では問題になってしまいます。
47都道府県の条例
警視庁からは明確な回答を得られたものの47都道府県全部の条例を調べるのは大変すぎる作業だなぁ、と思っていたら何と先駆者様がおられました。なんと47都道府県すべての灯火に関する条例文を下のページでまとめていらっしゃいます。神!
47都道府県における灯火に関する条例を見てみた
気になるのが福島県が唯一反射テープのサイズに明記をしていました。縦15cm、横2.5cmです。シートポストに貼ればギリギリ貼れるかどうかという大きさでしょうか。
(1) 夜間後方100メートルの距離から道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第32条第2項の基準に適合する前照灯で照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できる反射器、又は長さ15センチメートル(2枚に分けて貼り付ける場合は、その合計の長さが15センチメートル)以上幅2.5センチメートル以上の反射性を有するテープであること。
道路交通規則(福島県)
慎重にコメントしなければなりませんが、一次情報まではすべて確認していませんが、こちらのウェブページの情報を見させて頂いた限りでは福島県以外は「反射器材」の形状が明記されている都道府県はなく、少なくとも警視庁からの回答の理屈に基づけば反射テープでも十分な反射能力があれば反射板の代わりとする、という解釈は出来るかもしれません。但し、個別の都道府県の判断は分かりかねますのでお住いの所轄の警察署に問い合わせるのが一番良いと思います。
反射テープでもオッケーと明記している県は山梨県、大阪府、福島県でした。
https://t.co/SZuEbVxWTk
— ジョニー・デブ (@johnnie_debu) December 15, 2021
福島県は他の都道府県の反射板にくわえてテープに関する記述があります。
ということは、それを書いてない都道府県はアウトである、という認識で間違ってないと思います。
テープはあくまで補助ですね
法律の解釈は難しいですね。明記していないとアウトなのか警視庁のコメントの様に明記していなくてもオッケーなのか。重ねて申し上げますが、47都道府県に直接問い合わせないと正確な所は分かりません。
結論
警視庁としては反射テープでも十分な反射能力があれば反射器材とするという解釈ですが、結局個別の都道府県の解釈は微妙という結論になりました。時間とやる気が出来た時にはキャノボで通る都道府県くらいは問い合わせてみようかなと思いますが、現時点の私の結論は
反射テープも尾灯灯火も尾灯点滅も全部付けておくのがより安全
となりました。
灯火やベル等の保安器具に関してはとりあえず、自転車で安全に走り続けることに執念を燃やした人達が研鑽してきたブルベのルールを参考にしとけば間違いはない。
— Edeljagd@NextBRM108逗子200 (@PinaGAN_Sky) December 14, 2021
その上でホイールやクランクみたいな「動く箇所」に反射テープ貼るのは大変効果的。
身も蓋もない話ですが法律がどうであれ事故が起きて痛い思いをするのは我々ローディー自身ですので、より安全な装備をする方が良いに決まっています。Audax JapanさんのBRM/AJ規定を見ますと
第6条 装備
https://www.audax-japan.org/brevet/brm/brm-part-regulation/
夜間走行のために、車両に確実に固定された前照灯と尾灯とを装備することが必要である。灯火は常に完全に機能することが必要である(予備灯火は強く推奨される)。少なくとも一つの尾灯は(点滅モードではなく)常時点灯モードでなければならない。上記の要求を満たせない走者は出走を許可されない。 灯火は夕方から明け方まで点灯しなければならない。また他の視界不良の条件下(雨天、霧等)でも同様である。走者は、グループで走ろうと単独であろうと上記の要求を満たさねばならない。いかなる走者も各自の灯火を使用しなければならない! すべての走者は反射ベスト、反射たすき、反射肩掛けベルト(Sam Browne belt)、もしくは前後の見えやすい位置に反射素材がついた同様のものを着用しなければならない。 本夜間走行規則のいかなる違反をも、走者は即座に失格となる。 ベル装着とヘルメット着用を義務付ける。400km以上では前照灯2つ、ヘルメットに尾灯(点滅可)を装着すること。
とあり、複数尾灯を強く推奨した上で少なくとも一つの尾灯は点滅モードではなく常時点灯モードでなければならないと規定されております。
代わりにできるから使うとして、視野性がきちんとした反射板や灯火より劣るなら、良いことないので辞めたほうがいいかなあって感じですよね。
— 未架@つぎは何しよう? (@mika_vianirone7) December 14, 2021
補助として使うには有りかなという認識です。
尾灯の灯火と点滅では、点滅の方がランタイムが長くなるのでついつい点滅で運用したくなりますが、尾灯は2つ以上付けて一つは灯火、一つは点滅、反射テープは補助として付けるという考え方がよさそうです。(ブルベルールに準拠)
それだとさらに車から100m以上手前から認識できるというのが重要になるかと。
— WTb (@ossan5684) December 14, 2021
あとそもそもな話、尾灯点滅が夜間自転車走るのに有効なのかという議論が……車線知らせるポールや標識のライトが点滅だったりするので。
それこそ北海道にある車線や除雪の目安になる視線誘導灯(スノーポール)というものがありまして、これはLEDが点滅で動作するんですよね。
— WTb (@ossan5684) December 14, 2021
自分はそれ扱いされて後ろから突っ込まれるのが怖いので常に点灯にしていました。(車やバイクのリアライトは点灯のみで点滅しないため
また、頂いたご意見としては、視線誘導灯と誤認する可能性があるので尾灯の点滅は使わない方が安全とのご意見もありました。
あとは正しい法律の解釈がどうであれ現場の警察官の印象はまた別の問題という点もあります。
性能については3Mが中華反射板に負けていることはないと思うけれど、この場合大切なことは性能がどうであれ客観的に反射板を取り付けているという事実が分かり安いこと
— yamakiyo (@yamakiyo8010) December 15, 2021
反射テープで機能は代替できるけど警察官はあまり好意的に見てくれない https://t.co/XfGN1Bo338
またヘルメットに貼るのも安全性が上がって大変良いと思います。(反射ベストと同じく自転車に備えている事にはなりません)
保安部品の話とは関係ないけど3Mの反射テープ(赤)自体はかなりいい製品なのでヘルメット後部に貼ったら視認性上がって良いですの。
— はまでん♨@280日 (@m_idea105) December 15, 2021
先日納フレしたELVES VANYARには反射性が高いと評判の3Mのプリズム反射テープを貼ろうと思っていますので、貼ったらそのうち夜中の道に車載で持って行って車からの見え方の実験でもしてみたいと思います。
以上。ご安全に!
お願い。当ブログは立ち上がったばかりの新興ブログでグーグル検索にも引っ掛からずサーバー代すら賄えておりません。つきましては、少しでも「面白い」「参考になった」と思っていただけましたらツイッター等のSNSで拡散を何卒お願いします。
名前: てり~ Twitter @TerryRinRoadbik
年齢: 1985年産まれ36歳
身長: 176cm / 体重: 60~62kg / 体脂肪率: 9~11%
自転車歴: 2021年1月1日~
年間走行距離: 19,000~ km (2021年12月1日時点) (9割がズイフトです)
FTP: 243W / CTL 120~125
ライドスタイル: ズイフト、ロングライド、ファストラン、通勤、ヒルクライム
所有車両: CARERRA TD-01 AIR DISC (外乗り用) / TADA No. 74 (ズイフト用) / GARNEAU GARIBALDI G2R (通勤&グラベル)
大学卒業後、無職を経験。オーストラリア人の彼女(現妻)と国際結婚するために仕事だけを生きがいに頑張っていたら気が付けば30代も後半に「自分には何も無い人生」に失望し、一念発起して-27kgのダイエットに成功、その後ロードバイクに出会いロングライドの楽しさに目覚め、無謀にも「キャノンボーラー」を目指す。「今が人生で一番楽しい」「残りの人生で一番若いのは今日」をモットーに頑張っています。0歳と6歳男児のパパでもあります。
ファストラン記録:チバイチ523km 22時間26分 (2021年10月15日)
東京湾イチ252km 13時間17分 (2021年7月22日)
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コメント一覧
良く調べてあって、非常に興味のある内容でした。有難う御座います。
ありがとうございます!そう言っていただけると大変励みになります!