RDもスプロケも変えずに軽量化もして軽いギア化できる夢のアイテム スギノCYCLOID

今日は今お使いのリアディレーラー(RD)をショートケージ(SS)からロングケージ(GS)に変えることなく、スプロケットを大型化することもなく、重量的コストもゼロで軽いギアが使える様になる夢のアイテムの話です。

それが楕円インナーチェーンリングのCY4-SHC CYCLOID SHC チェーンリング シマノ4アーム用です!

今年1月から私の新しい愛車のELVES VANYAR DISCに組んで使い初めましてスギノCYCLOIDを導入してから約1200km走りましたので、レビューをしていきたいと思います。Amazonだと約1万円で買えます。

ギア比について

さて、最初にギア比についてご説明したいと思います。もう知ってるよ!という方は適当に読み飛ばしてください。

ギア比というのは「入力側(クランク)の歯数」と「出力側(スプロケット)の歯数」の比です。入力側(クランク)が少なく回っているのに出力側(スプロケット)がたくさん回っている(アウタートップ=下り坂を速く走る時)状態ではギア比が高く、逆に入力側がたくさん回っているのに出力側が少なく回っている(インナーロー=登り坂を漕ぐ時)状態ではギア比が低くなるのです。文章にするとややっこしいですが、ちょっと考えれば難しくはないですよね。

Shimano ディーラーズマニュアル

「あれ?ちょっとまって?じゃあ何で普段ローバイクのギアの話をするとスプロケットの歯数の話ばかりするんだろう?」と思われた方、とっても鋭いです!「より軽いギアを使う」という話をすると基本的にスプロケットを大型化する話になりますよね?でも、先ほどのギア比の説明を思い出してください。スプロケットを大きくする事も一つですが、クランク側のギアを小さくしてもギア比を低くできるのです。では何故、普段ロードバイクで軽いギア比に変更したい時にクランクのギアの話(クランク側のギアを小さくする話)が出てこないのでしょうか?

T = Teeth = 歯数 = ギアについている歯の枚数
50Tというのはリングに歯が50枚ついてるという意味です。

コンパクトクランク

何故か。それはShimanoのクランクが11速モデルはデフォルトがコンパクトクランク(50-34T)になっているからです。(というか歴史的にロードバイクは競技用機材だったので、ずっと大きなクランクだったのがようやく50-34Tまで小さくなった。ロードバイク歴1年のにわかなので歴史的な見解が違っていましたらご指摘ください。)。デュラエースのクランクFC-R9100もアルテグラのクランクFC-R8000も105のクランクFC-R7000もインナーリングが最も小さいのは50-34Tで、これ以上小さいインナーリングの付いたクランクが無いのです!!😱

では、何故Shimanoがこれ以上小さいギア数のクランクを作らないかというとフロントディレーラーの変速性能の限界が16T差だからです。アウターが50Tの場合、変速できるインナーの歯数は50 -16 = 34という事です。この16Tの差を越えてしまうとFDの変速性能限界を越えてしまいインナーリングからアウターリングへ変速する事が出来なくなってしまうのです。
シマノとしてもクランクの種類を増やし過ぎる利点はあまりないので、48-32Tや46-30Tのクランクは作らないで軽いギアが欲しかったらRDをGSに換えてスプロケットを大きくしてね、という考えだと推察します。

でも、34Tより小さいインナーリングを使う事が出来れば、スプロケットを大型化する必要もなく、リアディレーラーをロングケージのタイプに変える必要もないので、とっても良いと思いませんか?

50Tアウターで32Tが使える夢の商品

そんなあったらいいなを叶えてくれたのがこちらの商品。「スギノ CY4-SHC CYCLOID SHC 32T」です。Amazonでお値段9890円。色はレッドかグレーが選べます。(テレフォンショッピング風)

フロントディレーラーの最大変速性能は16T差と前述しましたがが、32Tだと18T差になってしまいます。ちゃんと変速できるのでしょうか?それがこの製品の凄い所。なんと楕円リングで楕円の長い所で変速するので変速地点での歯数数差が16T相当になるようにしているのです。かつ楕円リングの効果で坂道が回しやすくなる。インナーリングも小さくなるので若干の軽量化になると良いこと尽くめです!すごいぞスギノCYCLOID!
今回私が使ったのはアウター50T用の32Tですが、スギノCYLOIDはアウター52T用の33Tも設定があります。

株式会社スギノエンジニアリング | 製品情報 | Chainring & ACCESSORY | Chainring – CYCLOID
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株式会社スギノエンジニアリング | Chainring & ACCESSORY | Chainring – CYCLOID の製品情報ページです。
https://www.suginoltd.co.jp/products/accessory/cycloid.html

さっそく購入して取り付けてみました。パッケージはこんな感じです。軽量のアルミインナーギアなので持った感じはペラペラです。そこに1万円の重みは残念ながらありません(笑)

気になる重さの実測値は24.9gでした。デュラエースFC-R9100のインナーギアは26.5gですので、1.6gの軽量化です。流石、デュラエースですね。

↓装着するとこんな感じです。アウターギアの隙間からチラ見する赤色がたまらなく好みです😍
自転車の色味の関係で赤はちょっとという方にはちゃんとグレー色の設定があります。

ギア比と軽量化のメリット

さて、このスギノCYCLOID 32T自体の軽量化には元から期待していません。これを付けることによってスプロケット1枚分を軽くできるのです。具体的にギア比でみていきましょう。
FC-インナー:フロントクランクのインナーチェーリングの歯数
CS-Low:スプロケットの一番軽いギアの歯数
Inner-Low ratio:インナーロー、フロントがインナーでスプロケットがロー(一番軽いギア)の時のギア比です。

FC-インナーCS-LowInner-Low ratio
34281.21
34301.13
34321.06
32281.14
32301.07

「FC-インナー」と書いてあるのがインナーギアの歯数です。「34」が通常の純正品の50-34Tです。「32」がスギノのCYCLOID 32Tです。「CS-Low」というのがスプロケットについている一番大きなギアです。例えば「28」は11-28Tのスプロケットということです。「Inner-Low ratio」がインナーローにギアを入れた時の一番軽いギア比です。

私は前の愛車CARRERA TD-01では50-34Tの11-30Tを使っていましたので、インナーローの一番軽いギアに入れた時にはギア比は34 ÷ 30 = 1.13です。フロントインナーが1回転するとスプロケット(=タイヤ)が1.13回転します。この数字が小さければ小さいほど軽いギア比になります。スギノCYCLOID 32Tを使うと、11-28Tのスプロケットでほぼ同じギア比の1.14になります。これが今回このアイテムを採用した理由です。

スプロケットをワンサイズ小さくできる重量のメリットはCS-R9100であれば11-28Tが193g、11-30Tが206gで13gです。CS-R7000であれば11-28Tが284gで11-30Tが304gで20g差になります。

「私は十何gの重量なんて気にしないし」という方が殆どだと思います。注目して頂きたいのは今、11-30Tを使っている方です。更にギア比を軽くしたいと思った場合、次は11-32Tのスプロケットになるわけですが、スプロケットを新調したうえにリアディレーラーをGS(ロングケージ)タイプに変えなければなりません。これは大きな出費です。スギノCYCLOID32Tならばインナーを変えるだけなのでリアディレーラーもスプロケットも変える必要がありません。ホイール(+スプロケット)を複数所有している方にも良いと思います。

ちなみにスギノCYCLOIDは52Tアウター用に33Tも設定があります。今50-34Tを使っていて52Tアウターで高速化したいけど、登り用にインナーのギア比を残しておきたいというレース志向の方にも使えるかもしれません。

実際に使って走ってみた感触

ギア比や重量のメリットは上記の通りですが、一番気になるのは楕円チェーリングの漕ぎ心地ってどうなの?という所だと思います。実車に組んで約1,200km走ってみた感想は下記の通りです。個人の感じ方には大きな違いがある場合がありますので、あくまで私が使っていて感じた個人的な意見です。

変速性能には影響なし

メーカーのふれこみや事前のレビューで確認してはいましたが、私が感じた範囲では本当に変速性能には影響ありませんでした。今のところフロントの変速時にスギノCYCLOIDが原因と思われるチェーン落ちはありませんでした。ただ、クランクを逆回しした時にふとした瞬間に若干チェーンが落ちやすくなる感じはあるかもしれないです。

幻のローギアが1枚増える

激坂を登っているともっと軽いギアが欲しくなってSTIの小さいレバーをカチカチするけど、「もうリアのギアがない!😱」という経験がみなさんあると思います(笑)ギア比的にあたりまえではあるのですが、スギノCYCLOIDを導入すると同じスプロケットでギア比が軽くなりますので、本当にもう1枚幻のローギアが増える感じです。導入してよかったな、と感じた瞬間でした。

フォームが矯正される感じ

楕円チェーリングの特徴だとは思うのですが、ペダルが12時付近からパワーフェイズで自然に力が掛かっていく感じがあります。いうなればフォームが強制的に矯正される感じでしょうか。私の様にロードバイク歴1年でフォームがまだまだ固まっていなくて、ちゃんとしたペダリングを出来てない人(私)にとってはパワーフェイズの漕ぎ出しのタイミングがはっきりと分かる様になります。特に私は真下に踏み過ぎてしまう悪い癖があるので、ペダリングの矯正に有効と感じました。
逆説的にいえば、フォームが出来上がっている人にとっては強制的にパワーフェイズの位置が決められるので、漕ぎずらいのかもな、と思いました。
あと面白いのは暫く楕円のインナーで漕いでいると新円のアウターに戻した後もしばらく楕円で漕いでいる様な感覚が残ります(笑)

高ケイデンスだと変な感じ(低ケイデンスだと自然)

これも私のペダリングスキルが拙い所為もあると思うのですが、私は80~90rpm以上のケイデンスだとぐわんぐわんしてしまって変な感じでした。逆にケイデンス70rpm前後だと楕円をあまり感じることなく自然に漕げる感じでした。私は低ケイデンス派なのでまったく問題ないのですが、高ケイデンスで登りたい人には合わない方もいるかな、と思いました。

踏み出しのパワーが出しやすい

一部のレビューで「FTP〇〇〇Wですけど、〇〇〇W登れる様になりました」みたいなコメントをみかけて、本当に?と思っていたのですが、確かに踏み出しのパワーを出しやすい気がします。まあただこれを導入したからと言ってFTPより30Wも高く踏めるようになるという事はないと思いますので、過度な期待は禁物です。踏んでればちゃんと垂れます(笑)
あとはやっぱり楕円の感触が合わないという人は一定数いる様で、メルカリなんかを見ていてもちょくちょく出品されていたりします。私の総評としては本当に楕円の感触さえ問題なければ1万円でも買いな製品だと思います。

というわけで、今回は楕円インナーリング、スギノCYCLOIDのレビューでした。

筆者情報(初投稿時)

名前: てり~ Twitter @TerryRinRoadbik
年齢: 1985年産まれ36歳
身長: 176cm / 体重: 62~63kg / 体脂肪率: 10~12%
自転車歴: 2021年1月1日~
年間走行距離: 約20,000 km (2021年) (8割がズイフトです)
FTP: 252W / CTL 100~110

ライドスタイル: ズイフト、ロングライド、ファストラン、通勤、ヒルクライム
所有車両: ELVES VANYAR DISC (外乗り用) / TADA No. 74 (ズイフト用) / GARNEAU GARIBALDI G2R (通勤&グラベル)
大学卒業後、無職を経験。オーストラリア人の彼女(現妻)と国際結婚するために仕事だけを生きがいに頑張っていたら気が付けば30代も後半に「自分には何も無い人生」に失望し、一念発起して-27kgのダイエットに成功、その後ロードバイクに出会いロングライドの楽しさに目覚め、無謀にも「キャノンボーラー」を目指す。「今が人生で一番楽しい」「残りの人生で一番若いのは今日」をモットーに頑張っています。0歳と6歳男児のパパでもあります。
ファストラン記録:チバイチ523km 22時間26分 (2021年10月15日)
          東京湾イチ252km 13時間17分 (2021年7月22日)
         大阪東京キャノンボール530km 23時間40分(2021年12月13日)

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Posted by rin701