3/26 パナレーサーのアジリスト開発者様といくライドツアーで聞いた事まとめ
lightは軽くするためにトレッド幅を細くしている。よって直線はまったく問題ないがコーナーであまりに倒しすぎると不利。トレッド面が細いということは対パンク帯も細いという事、その分パンクのリスクは増える
用途にあった商品を選んで欲しい。アジリストライトでガレた路面に突っ込んでパンクしたとしてもそれは想定した商品設定ではないので、その場合はDuroを使って欲しい
Duro対パンク帯性能は他社比較で言うとゲータースキン相当、ゲータースキンもサイドカット対パンク帯を外側に貼っているので構造的には同じ。対パンク帯が多い=素材が厚い=乗り心地の悪化。ノーマルアジリストと比べるとDuroは若干の乗り心地が犠牲になっている。
アジリストはレースで勝つために作ったタイヤ。想定するレースはクリテからロードレースまありとあらゆるレース。何かに性能を尖らせるのではなくてバランスを良くすることに注力した
社内でも非常に力を入れ開発に3年以上かけたフラッグシップの刷新。本当に色々な議論あったが単純なGP5000キラーやその他の既存品に囚われくことなく本当にレースに勝てるタイヤを考えて作った答えがアジリスト。
転がり抵抗を追求するにはとにかく使用する素材を減らせばよい。例えば対パンク帯を無くせば素材を製造工程で貼り合わせて実使用する時に生まれる素材間の摩擦熱(しっかり張り合わされていたとしても)を低減できるので、有利になる但し、どんなに転がり抵抗が良くてもレースのゴール前にパンクしては意味がないのでタイヤ設計はバランス。
グリップ性能と転がり抵抗は必ずしも相反する性能ではない。
パナレーサーとしては多くの既存品をベンチマークして研究している。開発の1番最初のプロセスは市場調査。様々な角度から本当にユーザーから求められるタイヤのコンセプト(開発の方向性)を決めてから開発を始めている
アジリストのグリップ性能にはかなり気を使って開発した。アタックの時の「かかり」具合とコーナーでの安定感はグリップ性能による。
今回のアジリストに関してはパナレーサーのフラッグシップモデルであり開発メンバーにも上層部から非常に大きなプレッシャーがかかっていた
タイヤ開発はバーターな性能をいかにバランスを取るかの難しさであり、例えば転がり抵抗だけを気にするのであればGP5000を越えるものは簡単に作れる。但しその場合にグリップ力や対パンク性能などが犠牲になりパナレーサーがレースに勝てるタイヤとして追い求めている方向性とは違った
転がり抵抗ベストでもそれによってコーナリングで10秒ロスしては意味がないと考えた。
転がり抵抗は単純なグリップ性能とのバーターではなく、タイヤ全体の完成系として最後に出てくる値である。例えば使う材料(対パンク帯等)が少なければ少ないほど最終製品で貼り合わせたあとの素材間での摩擦(完全に溶着していても異素材間では摩擦が生じる)があるので転がり抵抗は悪くなる。
レースに勝てるタイヤしてヴィクトワールと提携し、実際にレースに使って貰いながらかなりのフィードバックを貰った。特にグリップ力、仕掛けた時のかかりの良さきは気を使った。ヴィクトワールからのフィードバックは開発において非常に参考になった
通常の開発においては金型の修正はあまり行わないが、アジリストはフラッグシップの刷新なのでコストをかけて何度も修正した。
パナレーサーのレースシリーズは知名度もあろ社内でも名称を継続するか大きな議論があったが、タイヤ設計のコンセプトそのものを刷新する大きな試みであることから商品ブランド名も刷新する事とし各国の代理店と連携し、使用可能なネーミングから候補40以上から選んだ名前である。アジリストでAgilestと書くなど読みずらいとう指摘もあったがグローバルマーケットを意識してこの名前になった
開発のプロセスは、先ずは市場調査、これにより開発の方向性を決める。方向性が決まらなければ、開発はできない。いきなり金型を起こすのはコストがかかるので、先ずは新素材を既存の金型に入れて作ってみる。
他社品も含めて既存品はベンチマーク試験にかけてワッテージ数字として全て調査している。ワッテージだけでは分からない乗り心地などの感応性は開発者を含むテストライダー社員勢で調査している。また協力レースチームや感度の高い一般ローディーにもフィードバックをお願いしている。
金型を修正するのはコストがかかるので新製品の開発は既存の金型を使って新素材を試すのが中心になる。CADを使って新しい金型を起こすのは最後の工程。ただしアジリストに関してはフラッグシップなのでコストかけて本当に何度も金型修正をしている
タイヤの製造工程というのは素材別に帯を作った後に最後にそれぞれの素材を金型に入れて硫化して最終製品になる。製造は自動で行われるわけではなく、製造作業者の熟練の腕が要求される。製品によっては120人程いる社員の内、2人程しか作ることができないものある。
為替や原材料が高騰しているので近いうちに値上げをする可能性はある
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